まずはジェイクの住居だが、4章に"My flat was just across the street, a little way down the Boulevard St. Michel." (p. 34) とあって、通りの反対とはネイ将軍の像のことで、ネイ将軍の像があるのはモンパルナス地区のちょうどモンパルナス通りとサンミシェル通りの交差するあたりだ。"He looked very fine, Marshall Ney in his top-boots, gesturing with his sword among the green new horse-chestnut leaves."とジェイクが言っている(ヘミングウェイが書いている)とおりの立派な銅像だ。
そこから通りを渡ってサンミシェル通りを下ったところというが、アパートらしき建物が並んでいるのでどれがジェイクのアパートかはわからない。ヘミングウェイがもしかしたら住んでいた場所とかがあるのかもしれないが伝記を調べたわけではない(仕事でもないしそこまでやる気はない)のでわからない。適当に写真を撮っておいた。要するにジェイクはこういうようなところに住んでいたということだ。
小説中に登場する(p.34, p.73)レストラン"Closerie de Lilas"はちょうどモンパルナス通りとサンミシェルの角、ネイ将軍の像の手前にある。現存しているのが驚きだ。
また、小説に出てくるいくつかのカフェ(p.32, p.34, p.45など)はジェイクの住居とされるあたりからモンパルナス通りをモンパルナスの国鉄駅の方に10分くらい歩いたところに固まっている。このあたりがジェイクの夜の遊び場だったわけで、結構家の近くで遊んでたんだなということがわかる。
ただ、ジェイクの愛するブレットは上流階級の人間なので待ち合わせに使うのは右岸の高級ホテルだ。6章でジェイクが待ち合わせに行ってすっぽかされるクリヨンはコンコルド広場の傍にある。
遺産や年金で食べている「上流階級」の登場人物が多いこの小説で、ジェイクは唯一の勤め人、サラリーマンで我々と同様朝アパートを出てダウンタウンのオフィスに通勤している。第5章の冒頭に"In the morning I walked down the Bouldvard to the Rue Soufflot for coffee and brioche." (p.39)とあるが、サンミシェル通りをスフロー通りに向かって歩くとこんな感じだ。ただ時間が朝ではないのでちょっと雰囲気は違うと思うが。サンミシェルとスフローの角はソルボンヌ大学の近くで、スフローを奥に向かうとパンテオンがある。
ジェイクはこのあたりからバスに乗ってマドレーヌまで行くと書いているが、ジェイクの乗っていたS Busというのはどれかわからないけれども、右岸に行くバスがいっぱい走っている。"The horse-chestnut trees in the Luxermbourg gardens were in the bloom" (p.39)と書かれているリュクサンブール公園の前にバス停がある。
ジェイクはマドレーヌでバスを降りてからカプシーヌ通りでオペラに向かうといっているが、カプシーヌはこんな感じ。(だたし写真はオペラ側からマドレーヌ側を見て撮った。ジェイクは遊び人で帰りはオペラからマドレーヌには行かないのでこのような向きには歩かなかったはず。)"I passed the man with the jumping frogs and the man with the boxer toys" (p.38) と書かれているがそんな変なやつらはいなかった。オペラの駅前に、ジェイクがコーンと昼食後のコーヒーを飲む(p.43)Cafe de la Paixがある(メニューを見たがすごく高かった)。
"... where it is such an important part of the ethics that you should never seem to be working" (p.17)と言っているくらいでジェイクが仕事をしているところはあまり小説に出てこないが、外務省に記者会見に行くというシーンがある。アンバリッドに行く途中にその外務省を裏からだが撮ったのがこれ。
ジェイクがビルと一緒にスペインに向かうときに使うのはオルセー駅だが(p.82)、これは今のオルセー美術館だ。内部は駅の雰囲気がよく残っている。
ほかにも場所や通りの名前はたくさん出てくるので見逃しているところも多いが、ヘミングウェイのファンで足跡をたどっているというわけでもないのでこの辺で終わりにしたい。