この本はブックオフの中古ベストセラーに入っていて100円だったからたまたま買ってみたんだが、エッセイだった。エッセイというフォーマット自体が好きではないので読み始めてがっかりした。梨木香歩という人は全然知らないのだが、この本の中に書いてあったことから児童文学に関係した人で、あとがきによると小説も書いているらしい。「ぐるりのこと」とは自分の身の回りのことという意味らしいが、非常に簡単に言えばこのエッセイは自分の周辺で起きたことにはじまり、その周辺からさらに外の世界とその間にある境界について語ったものだ。エッセイというフォーマットは特に物語も明確な結論などもあるわけでないのでこうやって簡単にまとめたり一部を取り出したりしてもおそらく「そんなことが言いたいわけではない」と否定されるのだろうが(そういうところがエッセイというフォーマットが嫌いな理由のひとつだが)、おそらくこの作者はあまり自分とは考えが合う人ではないだろうということはよくわかった。だがそれでも全部読みきったということはそれなりに文章がうまかったということなのだろう。