2009/06/21

松本清張 『ゼロの焦点』

映画化されるというので読んでみたのだが、おもしろくて昨日サンフランシスコに行くBARTの中で読み始めて行きと帰り、昨日の夜と今日プールに行って寝そべっているうちに読みきってしまった。

見合いで結婚したばかりの夫が失踪し、妻がその行方を推理しながら追うという展開の小説。夫の失踪を調べていたはずの人々、また犯人と思われていた女も自殺してしまったところで急展開があり、真犯人がわかる。

昭和32年から33年の東京、金沢、能登の風景、寝台車や2等車を連ねた夜行の急行での移動、金沢からちょっと離れただけの郊外ではもうちょっと派手な洋装が奇異に見えるようななんというか地方色の豊かさ、といった失われた昭和の情景がいい雰囲気だ。でも、見合い結婚で相手をほとんど知らないうちに交際もしないで結婚したり、主婦が夫が失踪した事件の関係者とはいえ簡単に警察や役所で情報を手に入れられるなど、現代ではありえない話で、こういったところもちょっと時代が違うという感じだ。